肛門周囲膿瘍とは
肛門の皮膚と直腸粘膜の境目に肛門陰窩という小さなくぼみに便が入り込むことで、細菌感染を発症し、化膿してしまったものが肛門周囲膿瘍です。痛みや発熱など比較的はっきりとした症状を認め、切開による排膿が主な治療法となります。
肛門周囲から皮膚まで膿が通るトンネルが形成される痔ろうにまで至ると、手術による治療が必要となります。
肛門周囲膿瘍の初期症状・症状
肛門周囲膿瘍の初期症状
- 肛門周囲の腫れ
- 肛門周囲の痛み
- 熱感やかゆみ
- 排便時の不快感や痛み
肛門周囲膿瘍の症状
膿瘍が発生した場所に応じて症状に違いがあります。皮膚から浅い部分に発生した場合は強い痛みを自覚し、深い部分に発生した場合は鈍痛や微熱、倦怠感が起こります。
- 皮下の浅い場所に発生:強い痛み、触ると硬い、熱感
- 皮下の深い場所に発生:鈍痛、倦怠感、微熱、触れないこともある
肛門周囲膿瘍の原因
軟便や下痢などにより、肛門陰窩という窪みから細菌が入り込むことで発症します。また、免疫力の低下やアルコールの過剰摂取により起こることも多いです。
その他、潰瘍性大腸炎やクローン病、がん、膿皮症などの皮膚疾患によって起こることもあります。
肛門周囲膿瘍の膿の出し方
肛門周囲膿瘍では、まず切開により排膿する治療が優先され、最も効果的です。細菌を死滅させる抗菌薬を用いた治療は、膿の溜まりには十分な効果を示さないためです。局所麻酔を十分に行って切開排膿を行います。
肛門周囲膿瘍を放置すると?
肛門周囲膿瘍を放置すると、痔ろうに進行します。痔ろうを放置すると、複雑化して手術の難易度が上がり、術後合併症のリスクが上がります。痔ろうがんを発症するリスクもあります。肛門周囲の痛み、腫れがある場合、早めに当院へ相談してください。
手術費用について
手術費用は麻酔の種類、痔核の数や、併用した術式によっても違い、下記費用は保険適用時の目安の金額になります。
術式 | 1割負担 | 3割負担 |
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肛門周囲膿瘍切開術 | 約4,000円 | 約10,000円 |